IMGとのミーティング

ミーティングでは様々な質問が飛び交った

ミーティングでは様々な質問が飛び交った


 近年、ゴルフマーケットで注目を集め続けるアジア。アジアンサーキットがアジアンツアーとなり、ヨーロピアンツアーと深い関係を結んだ。さらにワンアジアツアーなども誕生し、それぞれの国でのゴルフも盛んになっている。その中心となっているのが、経済的にも成長著しい中国だ。



 欧米が中心となっていたゴルフの世界がいつしかアジアを抜きには語れなくなり、ヨーロピアンツアー競技にもアジアとの共催が増え、米ツアーも職種を動かしている。その注目度を反映して育ってきたのがWGC-HSBCチャンピオンズだ。

エグゼクティブトーナメントディレクターのマーク・ウェブスター氏

エグゼクティブトーナメントディレクターのマーク・ウェブスター氏
Marc Webster Executive Tournament Director

トーナメントディレクターのハイアン・ダイ(ディディ)氏

トーナメントディレクターのハイアン・ダイ(ディディ)氏
Haiyan Dai (Dee Dee) Tournament Director

中国はゴルフに馴染みのない人がほとんどで、観戦の仕方を知るはずもない。そのため当初は様々な苦労があった。最初の2年間ほどは、ギャラリー整理用のロープの外を歩くと言うことも知らない者が多かったが、やがて、これが浸透。ゴルフマーケットとして拡大するのと並行して携帯電話が普及した中国らしく、大会が始まった頃には、ギャラリーの使用が問題になったこともある。それが今では、使用エリアを看板で示せば限られた場所で使用すると言う形が定着。ゴルフ観戦に慣れたギャラリーも増えてきたと言う。

ギャラリーの数も2013年には3万人に増えたが、大会側は「ギャラリーの数を増やすより、クォリティ(質)を高めたい」というスタンス。これがしっかりと身を結んでいる様だ。

中国が舞台のゴルフトーナメントでは唯一、通しでチケットセールスをしており、4日間で2,000元(約4万円)。平日は1日500元(約1万円)で、週末は1,000元(約2万円)。18歳以下は無料で、学生は100元(約2千円)と、若年層の開拓にも力を入れている。他にファミリーチケットも販売。将来を見据えている様だ。料金設定は、同じ上海で行われているF1やテニスのATPなどのチケット代をリサーチした上で決めている。


WGCの試合では唯一、プロアマも行っている。こちらは、ホスピタリティ、チケット、アマチュア出場枠、広告宣伝看板などをパッケージにしてセールスする昔ながらの方式を取っている。


大会を支えるボランティアは約600人。半分が大学生で残りの半分はクラブのメンバーだ。受付やギャラリー整理、スコアボードの入れ替えなどを分担して行っている。ボランティアへのホスピタリティは、ユニフォームの配布と毎日の食事。大会終了後には感謝状が贈られる。


チャリティーについては大会としては行っていないが、HSBCも会社としては様々なチャリティに携わっている。また、大会スポンサーの一つ、エミレーツ航空もジュニアのプログラムを行っている。


屋外が舞台となるゴルフでは、天候への素早い対応が必要とされるが、これについては
フェデレーションから1人、担当者が現地入り。朝、昼、午後と天候をチェック。プレーを続行するか止めるかの判断もフェデレーションが一任されている。


準備期間は丸々1年。大会終了後すぐに、翌年の準備に取り掛かる。施設物設置は大会5~6週間前から、撤収には約2週間をかけている。


もちろん、中国ゴルフ界の発展にも大きく寄与している。中国ゴルフ協会とHSBCのジュニアプログラムはすでに8年目を迎え、大会にもフューチャースターキャンプというジュニアプログラムがある。今年はジュニアがプロアマ終盤にグループに入ってプレーし、トッププレーヤーと同じ舞台に立つ機会を与えた。ジュニアにとっては大きな刺激となったに違いない。


2016年リオ・デ・ジャネイロ、2020年東京での五輪を見据えて、中国のゴルフ事情もずいぶんと変わってきた。中国ゴルフ協会とHSBC,IMGなどが行ってきたジュニア育成事業が、徐々に形になっていることは、世界のゴルフシーンを見ればわかるはずだ。


上記のように様々な形で中国、そしてアジアのゴルフマーケットの発展に大きな影響を与えているWGC-HSBCゴルフチャンピオンズ。その華やかさが年々増しているのはもちろんだが、中国の底力、そしてゴルフの広がりを改めて感じさせる大会となっている。



2_08



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