PGA倉本会長インタビュー

PGA創設60周年。協会の新たな可能性をPRし、
ゴルフ市場の再活性化につなげたい

会長就任時に「6年の時間をいただきたい」と挨拶した倉本昌弘PGA会長。ちょうどその折り返し地点に立ち、これまでの感想とゴルフ市場再活性化に向けたさまざまな取り組みについて伺った。折しもPGAは創立60周年。隆盛のシニアツアーをバックに、大胆かつ繊細な変革を模索している。

ゴルフ市場再活性化に取り組む倉本会長

ゴルフ市場再活性化に取り組む倉本会長

─ 会長就任3年が経ちました。これまでのご感想は?

ここまで、ただがむしゃらに動いてきた感があるんですけれども、私たちが作った提言書『ゴルフ市場再活性化に向けた新たな提案』のタイムスケジュールとしてはかなり遅れているかもしれません。でも、あと少し動けば歯車も大きく動くかな、というところにはきていると感じています。ゴルフ場や練習場はじめいろんな団体が「あれ(提言書)見ましたよ。私たちもこうやっています」というのをよく聞くのですが、「じゃあ一緒にやりましょう」というところまではなかなか進んでいかないんですね。

─ ゴルフ界全体のスキームといいますか、組織の再編なども必要とお考えのようですが

JGTOができて17年です。もちろん私がJGTOを作った張本人でもありますが、時代が変わって試合数も少なくなってきた。そうなると当時と今とでは、GTPAとJGTOをはじめ、各ゴルフ団体の関係性が変わってきていると思います。ならばPGA、JGTO、JGA、GTPAなどの団体も再編していいのかなとは思いますね。そういった大胆なことをしていかないと、この業界はもたないと思いますよ。

─ PGAが進める具体的な施策としてPGAゴルフアカデミー、大学の体育授業、ゴルフデビュープログラムなどがありますが、それぞれ今どんな状況にありますか?

PGAゴルフアカデミーは東西に2つ作っていますが、ほぼ黒字化をしてきつつあります。これが軌道に乗れば、新しいアカデミーも始められると思います。大学との提携についても去年から始まっていて、今は先生を教えている段階です。授業のカリキュラムが出来上がり、このカリキュラムの教え方を我々が大学の先生に教える。その後、先生は子どもたちを教えるというところに来ています。ゴルフデビュープログラムはちょっと苦戦していますね。ゴルファーの数が減っている中で、既存のゴルファーではなく新しいゴルファー“だけ”がターゲットですから、アプローチする術がなかなかないのです。例えば女性誌とか、ファッション誌とかに広告を出さなければいけないとは思うのですが、ゴルフ誌などよりお金がかかりますからね。

─ 他にも進めていることはありますか?

今私たちがアプローチしているのは、会社の福利厚生です。今は企業が契約をすると、温泉などが安く使えるという福利厚生がありますよね。PGAのゴルフ場や練習場もその施設の一つに入れてもらおうとしているのです。でも、最低でも関東関西で50ずつの練習場、コースも全国に100くらいは必要なのです。今、テストマーケティングをしてその状況が分かってきたところなので、よかったかなと思っています。

─ シニアツアーが隆盛です。レギュラーツアーとの違いを一言で言うと?

難しいですが、ギャラリーと選手の距離が近いこと、それから主催者と選手の距離が近いということだと思います。だから主催者の希望が直接選手に伝わるし、選手の思いが主催者に伝わる。ギャラリーにも選手を通じて主催者の気持ちが伝わります。主催者の意向やギャラリーのリクエストなどは、ときに選手のプレーの妨げになると言われますが、それはないですね。もしプレーに影響が出て思うように自分のプレーができないのであれば、ツアーを辞めればいい。そういうツアーを用意したのだから、それに賛同する選手が出場すればいいと思うわけです。シニアツアーは表彰式の最後まで残っていなければいけません。それができなければ試合に出るべきではない。今年の開幕戦は水曜日にプロアマをやって、木・金曜日は試合をし、土曜日にまたプロアマなんです。こういうことができるのも、主催者やファンに向けた協会の思いが、選手たちにしっかりと浸透しているからなんだと思っています。

─ PGAは今年創立60周年を迎えます。なにか特別なことをお考えですか?

周年事業は外に向けてのアピールであると同時に、会員に向けたアピールでもあるので、広報活動に力を入れていきたいと考えています。実は、昨年末に市場調査を行って愕然としたことがあるんです。私たちとしては「PGAのティーチングプロは最高の技術を持っている」と自負しているのですが、それを知っている人が10%もいなかった。PGAのティーチングプロはすごいんだと自分たちが勝手に思っているだけで、一般のお客様側はそうではなかった。PGAのプロじゃなくても、習って上手くなれればいいと思っている人が多かったのです。これは私たちの明らかなPR不足。そこで今年は、PGAのプロはどのくらい大変な思いをして資格をとって、どれほどすごい知識を持っているんだということを積極的に告知していこうと思っています。まず第1弾として、PGAティーチングプロアワードの最優秀賞受賞者をゴルフネットワークの番組「プレメンレッスン」で取り上げてもらうことにしました。広報活動という協会がやらなければいけないことをしっかりやっていくつもりです。今後とも、皆様のご協力をお願いいたします。