GreenKeeper’s Voice 2016-01
スタジオアリス女子オープンのトーナメントにたずさわり、今回で7回目となる。
8年前、試合は観戦するものだと思っていた私が、その舞台を作る責任者になった。
期間中は朝4時前から始まる。わがスタッフたちの顔がいつも以上に、引き締まって見える。ポンプをすべて停止させ、誤作動に備える。後は何事もないように祈るのみだ。大会準備は長く感じるが、いざ始まってみればあっというまに終わるものだ。最終組がホールアウトしたら、感傷に浸る間もなく通常営業への復元作業である。わずか3時間でOB杭、看板類など山と積み上げられた備品類を元通りにしていかなければならない。次の日には通常営業が始まるのである。
嵐のような1週間が過ぎ去り、初めてのトーナメントは終わった。1回目は、運よく天候に恵まれ、穏やかに過ぎ去った。だが本来の4月初旬の気候はこんなものではなかった。あれは3年前の試合直前だ。台風並みの暴風雨が吹き荒れ、20mを超える木が何本も倒れた。枝、葉が散乱し、ギャラリーテントまでもが吹き飛ばされた。3か月かけ作り上げたものが、一瞬で崩れ去った。こんな状態で試合が出来るのか。途方に暮れていると、スタッフ提供を申し出てくれたゴルフ場があった。自分のゴルフ場を後回しにしてだ。総勢38名による昼夜いとわぬ作業によって、何とか開催することができた。感謝しかない。
そのほかにも直前まで動物の被害に悩まされ続けた年や、季節外れの霜にやられた年もあった。そして昨年は雨である。4月に入り、最終日まで9割が雨と、一般営業でも経験したことのない天候だった。以前まで異常と言っていた天候が、平常になったのを肌で感じる。だがそのたびに、周り方の協力のお蔭で窮地を切り抜けてこれた。
昨年はラグビーが大人気になったが、まさにワン・フォー・オール、オール・フォー・ワンの世界である。社会人になり、まさかこんなクラブ活動の延長のような経験ができるとは夢にも思わなかった。一生懸命に取り組んでこそ、そんな周りの方たちに恩返しができると信じ、今年の第11回目大会に臨みたい。
花屋敷ゴルフ俱楽部よかわコース グリーンキーパー
蛭川造園土木株式会社
篠木 謙児