Wyndham Championship視察
PGAツアーレギュラーシーズン最終戦であるウィンダム選手権で目立っていたのは、ギャラリーを楽しませる大型ビデオディスプレイ(OfficialLarge Outdoor Video Display Provider)。三菱電機製のLEDボード11台を、ツアー自ら所有しており、主催する全試合に設置しギャラリーサービスを行っている。
順位速報だけでなく、選手のスタッツや、ボードが置かれたホールのショットの結果やボールの位置などが映し出される。ウェブサイトで見られるものと同じ詳細な情報を、大画面で見ながら試合を楽しめるのは、ショットリンクが、詳細なデータを提供することができるからだ。屋外で、見た目だけでしか情報を得にくいゴルフトーナメントにおける画期的なサービスといってよいだろう。
情報提供の根源となるショットリンクとは、PGAツアーのシステム。様々な改良を重ね、緻密なものになってきている。レーザー計測器を全ホールで使用し、全選手のショット結果をデータ化している。18ホールすべてのグリーンと、パー4、パー5のセカンド地点、パー5のサード地点、つまり通常なら3 6か所でレーザーによる計測が実施されていることになる。
実際に計測するのはボランティアスタッフ。結果はリアルタイムでショットリンクのトレーラーに届いてチェックを受け、データがPGAツアー本部(フロリダ州)に送られる。ここを経由して、メディアセンターを始めとするさまざまな箇所に、ほぼタイムラグなく送られている。ファンが世界中で見られるPGAツアーウェブサイトでのショットリンク情報も、トーナメントの現場でLED の大画面で見られる情報も、実はフロリダを通していると言うわけだ。
これが、PGAツアーのオリジナルシステム“PGAツアーショットリンク”の秘密だが、残念ながらツアー主催ではないメジャーの大会では使用されていない。また、グリーン上での計測については、今後、無人化も計画している。そのための定点カメラ(各グリーンに3か所ずつ)での撮影が、奇しくもウィンダム選手権で行われていた。
PGAツアーでも、スマートフォンなどによるギャラリーの撮影は、本戦中は禁止なのが現状だ。ただし、この次の試合からはスマートフォンであれば本戦中も写真、動画とも撮影OKと言うことが決まった。コミッショナーの意向によるもので、SNSでの使用もできると言う画期的なもの。SNSによる宣伝効果、底辺拡大などを重要視した結果だろう。
その一方で、ボストンマラソンのテロ以来、対策には力を注いでいる入場ゲートでの手荷物検査は必ず行われており、大きなカバンの持ち込みは禁止。これは、前述のソルハイムカップでも同様だった。