ジャパンゴルフツアー選手会 池田勇太選手会長インタビュー
昨年1年間の経験を振り返りながら、2年目の目標を語る池田勇太選手会長。
選手会の担当制導入により今年はどの様な1年になるのか
選手会の担当制導入で更なるツアー活性化へ一丸
昨年1年間、重責を引き受けて突っ走った池田勇太選手会長。
トッププロとしてプロゴルファーに専念してはとの声もあった中で
今年もツアーの活性化を目指し選手会の牽引を決めた。昨年は選手として
光らないと選手会長としても光らないと両立を期して臨んだ。2年目の今年は、
選手として輝き選手会長としてのパワーも増すという。その思いは…
選手会長と選手の2足のワラジを履いた昨年一年間を振り返っていかがでしょう
終わってみて言えることですが非常に厳しい1年でした。選手会長としてやるという事がどういう事なのかという点も今ひとつ把握していない中で選手会長を引き受けました。右も左もわからずにとにかくガムシャラに前に進んだ。そんな中で試合も出て行かなければならないということで、夏場くらいまでは結構大変だったと今になって思えます。なぜ今かというと当時はイケイケどんどんで行くしかなかったのであまり大変だという気持ちは無かった。思い返すと秋口になってずっと休みも無く試合に集中する事が多くなった時にゴルフの調子も上がって来た。夏場過ぎまではゴルフの調子が上がらない事が多かったですから。その意味では選手と選手会長を両立できていなかったなと。ようやく11月にマイナビABCで優勝というチャンスに漕ぎ着けました。この試合を勝たなければ今年はもう絶対に勝てないと自分にプレッシャーをかけながらの優勝でした。そうした事でなんとか1年を乗り越えたという感じです。
一方で、すごく勉強にもなりました。例えば各大会やゴルフ業界の多くの関係者の方と密にコミュニケーションを取ることができて、ゴルフ界というものが今、どうなっているのか、どうしていかなければいけないのか、どういう対応が必要なのかという事を一選手として、また選手会長という立場で感じることができた。GTPAの主催者会議にも出させて頂きましたし、12月には理事会後に理事の方々に自分の思う事について30分くらい話をする機会も頂いた。お陰で同じ業界の中で我々男子プロというものがどういう位置づけで、どう見られているのかという事をすごく感じる事が出来ました。その分、今年というのが大事になってきます。選手会長として2年目の今年はやらなければいけない事、やらなくて良い事、任せられる事というようなところを自分の中で把握は出来ていますし、活動方針の中で分担制をとる事で選手会も組織のひとつとして動いて行く。そこにJGTO本体をもう少し近くに置いて一緒にプロゴルフ界の盛り上げを考えていく。その中でやはり今年こそは、プロゴルファー池田勇太というものも輝いていかなければと思っています。
分担制というのも面白いと思いますが選手会長の発案ですか
昨年いろいろと大変だった事などを理事会メンバーに伝えて、もう少し皆でうまくやれないかと話し合いました。そうしましたらそこにいた理事会メンバーからそれなら皆で分担してもう少し会長を支えられる体制を考えようという意見を出していただけた事で6つの役割に分けることになりました。それで僕としても非常にやりやすい体制になりました。競技関係の調整、会議などに出て行くというのもありますし、JGTOでは長年スナッグゴルフにも力を入れていますからそうしたところへも選手を派遣していかなければいけないという事もあります。選手の中にもいろんな意見を持っている人はいますので、誰が適任かというところを話し合った中で、この分担制という部署の担当を決めていきました。例えば競技では悪天候などで中々72ホールを消化しきれない試合がここ数年で非常に増えていますので、そうした場合の考え方や対応策。また観戦してくれているギャラリーやテレビを観ている方たちに、男子プロの凄さや臨場感が味わえるようなコースセッティングやピンポジションですとか、そうしたところでも我々も選手の立場からどんどん前向きな意見を出して行こうと。結局、ゴルフ競技は見せ物で、見せて見てもらえてナンボですからそうしたところをよりわかっていただけるようなポイントについて、選手会を代表して話し合ってもらう場を作ってもらうという。そうした事は昨年から少しずつやってきているのですが、これまでは全て自分でやってきました。その部分を今年は何でも自分が出て行くということではなくして、組織として分かれて動いて行きながら業界の盛り上げに繋げて行こうという事です。
昨年1年選手会長をやられて勉強になったと言われましたがどういった点でしょう
ひと言では難しいですが、例えばひとつのトーナメントを開催するとなると主催者がいて、その主催者がどこを目指してやっているのか、というところでしょうか。一選手でいた時には、そうしたところまではわかりませんでしたが、各大会のトップの方とお話しをさせていただいたり、会議で話をしたりという過程で、目的意識をどこに持つのか、宣伝効果はこれくらい出したい、プロアマに来ていただくお客様にはこうした対応をしたいなどの目標と達成に向ける様々な取組みの苦労がわかりました。そうしたところから男子プロというのはどういう対応をしていくべきなのか、またどのような見せ方をしていくのが理想的なのかというような発想になって、それらを思考していく中で主催者と意気投合しながら、ひとつのイベントを盛り上げていくためにはどうすべきか。そこに来ていただいたギャラリーにもアピールはできる、テレビを観ていただける方にもアピールはできる、いろんな意味でのアピールが出来る場面がある。そういうところに対して我々はどういった立ち位置にいなければいけないのかなど、そんなことは一選手としてはそれまで考えなかったことですし、そうしたことを考える機会になった。
それから魅力というものは何なのかと考えるようにもなりました。松山英樹選手や石川遼選手といった若い選手が出てきましたが、それだけではなくて男子ゴルフ界というのは下から上までベテラン・中堅の選手から若い選手までが絡み合って、面白いトーナメント、試合展開が出来ていく上での良さというのも魅力であると思います。では、そうしたところでの面白さを出していけるコースセッティングやピンポジションなどに取組んで行くことで魅力ある試合展開が増えて、そうしたことで新しいスポンサーですとか、一般の方々もそうした点に注目や興味を示してくれたりするのではないかなどといったところをいろいろと思うようになりました。
プロアマでは選手選考を100%主催者にお任せするということを打ち出しましたが
選手とは選ばれるべき人間でなければいけないと。嫌われているような選手だと仕様がない。我々がその試合に出させて頂くという事を感じなければいけない。LPGAはプロアマの評判がとてもいい。男女差というものはありますし、お客様への接し方をそのまま真似ればいいという事でもない。では我々としてはどういう接し方ができるのか。うまい下手はありますが、一緒に回っているゲスト3人の心をいかにキャッチ出来るかという事だと思います。相手の心を掴むというのは男も女も関係ありませんから。表情や言動、態度や振る舞いであったり、そうした事で気に入られる魅力のある選手が増えなければいけないと思うし育てなければいけないというのが今のJGTOであり、我々選手会に求められている状況なのかなと思います。
メディアや主催者に向けて何かメッセージや言いたいことはありますか
そうですね。出来ればいろんな新聞、雑誌で、人気選手だけではなくその試合その試合で旬の選手や期待の持てる選手、いろんな選手を取り上げてもらいたい。そうしたところで男子ツアーにはこれだけ面白い選手、多くの選手層があるというところを日本中、世界中の人たちに伝達してもらいたいと思います。いろんな選手のところへ足を運んでもらっていろんな意見を聞いて紹介してもらいたい。僕も含めて選手はメディアに露出するということはとても大事なことですから。
選手としての池田勇太の抱負はどうですか
プロゴルファー池田勇太として、やはり優勝ですよね。優勝を勝ち取る。勝ち取れないまでも上位には居るというところを、報道を通じて全国の皆さんに名前や顔を見てもらえる機会を増やさないといけない。少しでも名前を売って選手会長としてのパワーも増していくという姿を2014年は是非、皆さんに見てもらいたいと思います。そして、とにかくいろんな意味でこの男子ツアーというものを盛り上げるべく、その土壌を作っていただいている主催者の皆さんに感謝をして、ひとつひとつのトーナメントを戦っていきたいと思います。