ISPSハンダマッチプレー選手権
ISPSハンダマッチプレー選手権 主催者インタビュー
日本ゴルフのさらなるグローバル化を目指し、
マッチプレー選手権を復活!
男子レギュラーツアーで、14年ぶりとなるマッチプレー大会「ISPSハンダマッチプレー選手権」が開催された。日本ゴルフの強化とグローバル化を目指し、さまざまな挑戦を続けるISPS(国際スポーツ振興協会)の半田晴久会長に話を聞いた。
― 2015年から「ISPSハンダグローバルカップ」が男子ツアーに参入しました。そのきっかけと目的をお聞かせください
2016年から、ゴルフがオリンピックの正式種目になりました。そこで男子ツアーを盛り上げ、日本がゴルフでもメダルを獲得することを期待して主催を始めました。
この主催は2012年から6年間、ISPSがチャレンジツアーをスポンサードした実績の上にあります。また、2014年に男子ツアーの試合数が過去最低となり低迷しましたが、そのときに日本の男子ゴルフ界の将来に危機感を抱いたこともきっかけとなっています。
第1回グローバルカップは「グローバル化への対応」と「スポーツの社会貢献」という2つの意義がありました。第2回はこれに「地域おこし」という意義が加わりました。
2016年からは「ISPS HANDA PGAツアー・オブ・オーストラレイジア」もスポンサードしています。これは17試合あり、賞金総額が1億円以上の試合はヨーロピアンツアーとのコーサンクション(共同開催)です。今後はそれらの試合に日本の選手を推薦し、若い志ある人が外国選手に打ち勝つ道を開きたいと思っているところです。
本大会も含め、ISPSが突破口となって日本のゴルフがグローバルに盛り上がることを願っています。
― その大会が今年から「ISPSハンダマッチプレー選手権」としてスタートしました。男子ツアー14年ぶりのマッチプレーに注目が集まりましたが、そこにこだわった理由は
きっかけは、JPGA主管試合の「ネスレマッチプレーレクサス杯」を見て、「マッチプレーの灯を絶やさないように」と思ったからです。マッチプレーはゴルフの原点ですから。
その後、JGTOでマッチプレーが14年間も行われてないのはテレビ局の中継の都合だと知り、それなら「テレビ放映はなくていい。観客も来なくていい。社会的に有意義で、JGTOがやりたいことをやろう」と決意したのです。
ISPSは一般社団法人なので、対費用効果よりも対社会効果を第一に考えます。
どうすれば対社会効果が上がるか。それは「最大の賞金総額と、最大の優勝賞金額と、最小の観客動員」を達成することです。これが本大会の第1の意義です。
実際、今回の観客動員は史上3番目に少なく、そのお陰で観客席のロープを取り払い、ギャラリーがグリーンのまわりを囲み観戦できました。選手の息遣いや鼓動の音を聞きながら、勝負の行方を見守ったのです。これほど興奮し、面白いものはなかったと思います。
第2の意義は、公式戦のマッチプレーだということです。
ネスレマッチプレーが公式戦にならないのは、日本人選手しか出場できないから。これは「日本人を応援したい」というポリシーからきています。そこで本大会は、外国人選手も参加できるようにしました。公式戦なので賞金ランキングに加算され、シード権にも反映します。賞金王にも近づけるので、選手にとってもモチベーションが上がるのです。
第3の意義は、新しいマッチプレーの枠組みを作ったことです。
14年前のマッチプレーは、予選はストロークプレーでした。しかし、今回は予選もすべてマッチプレーにしました。こうすると多くの選手がマッチプレーを体験できます。これは過去になかった枠組みであり、世界の6大ツアーでもやったことのない試みです。
第4の意義は、賞金総額が2億1千万円、優勝賞金が5千万円の、国内最高の賞金総額にしたことです。賞金総額が大きいほうがプロゴルファーは燃え、社会も注目します。
― 開催地が北海道の函館。その辺に何かこだわりはあったのでしょうか
弊社ではファームですとか営業拠点が道内に105カ所ありまして、そして1,600名強の人たちがこの北海道で働いています。札幌にはファイターズがありますので、函館は新幹線が通ったということで、インバウンドも含めた観光という視点でも物凄く面白い街になる可能性があるように思いました。それとLPGAから、この北海道の芝で経験を積みながら、強くなった選手が世界に羽ばたくことができると聞きました。そこで函館でやらせていただけるのであればということで決めさせていただきました。
― 開催時期は6月から8・9月に変更されましたが、その理由は? また、ツアーとして珍しい2週間開催となりましたが、その理由と効果は
日程を9月にしたのは、海外メジャーのスケジュールと重ならないように調整したためです。すると、海外で戦う日本のトップ選手も出場可能となります。大会が2週になったのは、予選もマッチプレーにしたからです。浜野ゴルフクラブのご理解のおかげで、7日間、同じ場所で行うことができました。
― マッチプレーという試合形式に変更し、選手やギャラリーの反応は
ギャラリーは目の前でプレーが見られるし、選手と一緒にトーナメントに参加している感動を味わえ、非常に喜んでいました。選手も大勢のギャラリーとハイタッチをするなど、声援が励みになったようです。強烈な刺激となったようで、「勝負強さがいる」「常に攻めないと負ける」「3倍エネルギーを使う」など、さまざまな感想がありました。
― 今後の目標をお聞かせください
今年12月、高校生のためのマッチプレーを開催します。ISPSと日本高等学校ゴルフ連盟の共催による「ISPS HANDA 全国高等学校選抜ゴルフマッチプレー選手権大会」です。高校生のマッチプレーは画期的です。次世代の選手もマッチプレーを経験し、いっそう実力が磨かれることを期待しています。