PGA倉本会長インタビュー
具体的に動き出したゴルフ界再生活性化計画の
総仕上げをはかる
ゴルフ界再生活性化の大改革を掲げてきた倉本昌弘PGA会長。その改革も、いよいよ総仕上げの時期に入ってきた。さまざまな課題を抱えるゴルフ界をもう一度盛り上げるため、業界や競技団体、国境の垣根を越えて新たな挑戦を続ける倉本会長に、2018年の方向性について伺った。
─ 会長就任4年。これまでの率直なご感想をお聞かせください
私が会長になってからゴルフ界の再生活性化を進めてきましたが、去年あたりから大学体育のゴルフ授業の充実やゴルフデビュープログラムなど、ようやく具体的な動きが出てきています。そして今年は、第一生命さんとの包括連携協定を締結することができ、JGAさんとも連携することが決まっています。第一生命さんには1000万人くらいの顧客がいます。なおかつその顧客の近くにはご家族を含め、何千万もの人がいます。我々にとっては、新しいゴルファーを増やす素晴らしい泉です。
─ シニアツアーは19試合になりましたが、今年の大きな変化はありますか?
今年は初めて、我々PGAのシニアツアーを台湾で開催することになりました。これまで海外ツアーとの共催の例はあっても単独での開催はなく、シニアツアーが先鞭をつけた形です。スポンサーの方々が異口同音に言うのは「国内ではスポンサーをやりたくても飽和状態だ」ということ。そこで我々は海外に目を向けて、海外に出ている日本企業の営業活動の一環としてシニアを使ってくれればいいなということなんです。こういうものがベトナムやタイなど、いろんなところでできるんじゃないかなと思っています。
─ ツアーの見どころという点では?
選手目線でいえば「打倒マークセン」を誰がやるのかというところですね。それに今年は深堀圭一郎、谷口徹、手嶋多一、西川哲、小達敏昭、伊澤利光らの新しい顔ぶれが入ってきます。彼らがどこまで活躍するかも楽しみです。新旧入り乱れて戦っていくことがシニアの面白いところですから。いまレギュラーツアーが元気ありませんが、我々がそこを下支えしなければならないと思っています。レギュラーの人たちが、「将来はあそこでやりたい」と思えるようなシニアがあってこそレギュラーも意欲を持つことができるはずですから。
─ 東京オリンピックに向けての選手強化などについてお聞かせください
私が強化委員長、小林浩美LPGA会長が強化副委員長ということでやっていますが、実際にはなかなか強化できるものではありません。そもそも誰が代表に決まるのかもわからない状態ですから。そういうところをJGAさんなどとも組んで、東京オリンピックの代表選手ということではなく、将来のゴルフ界を担うような若い人材を育てていくことをやっていこうと考えています。東京だけでなく、さらに先のパリやロサンゼルスに向けて、いかに良い選手を育てていくかということが大事です。
─ スポンサーやメディアに対して、要望などはありますか
メディアに対しては、外に対してネガティブな話はやめましょうとお願いしたいです。たとえばトーナメント数が減っているとか、ギャラリーが来ないとか、そういうことを表に出すのではなく、そういう状態だからこそこんな楽しいことがある、こんな楽しみ方があるということを出してほしいです。主催者の皆さんには、費用対効果を求めるのなら、選手にも協会にも言うべきことは言うべきだと。そこがうやむやだと、選手も協会も的外れな活性化みたいなことをやってしまうことにつながります。もっと話し合いが必要かもしれませんね。
─ 最初に掲げた6年も残り2年となりました。抱負をお聞かせください
もともと6年の予定で会長職をやらせていただき、これからの2年でようやくいろいろなものが動き出す感触を得ています。我々の予想では、2020年を境目に本当にゴルフ界はどん底を迎えそうです。そうなったときに我々はどうあるべきか。PGAはPGAとして独立して生きていけるのか。どこかと組んで2つが一つになるのか、3つが一つになるのか、それはわかりませんが、そういう時代が来るとは思っています。我々はいろいろな団体に連携しましょうと言い続けています。3月の総会で再任されたら、そうした危機感を感じながら、残り2年のかじ取りをしていきたいと思っています。