医療従事者支援のためのチャリティ活動

医療従事者支援のためのチャリティ活動で
ツアープロもさまざまな取り組みに尽力

多くのトーナメントが中止や延期に追い込まれ、開催できたとしても無観客となるなど、新型コロナ感染症の影響を大きく受けている今季のプロゴルフツアー。そんな苦境のなか、ツアープロたちが医療従事者支援へのチャリティ活動など、“対コロナ”の独自の取り組みに力を入れている。彼らの活動の一部を紹介しよう。

新型コロナウイルス感染症の拡大がいまだ収束の兆しを見せないなか、医療現場では多くの医療スタッフが力を尽くして戦っている。この活動に敬意を表し、ゴルフ界でも数々のチャリティ活動が積極的に行われている。

8月11日、ジャパンゴルフツアー選手会が今年3回目となる理事会を電話会議で行い、今後の活動方針について話し合った。

この理事会では、選手会のチャリティ活動計画が見直され、これまでのガン研究や東日本大震災被災へのチャリティに加え、新たに「新型コロナウィルス感染症関連医療従事者支援」「令和2年7月豪雨災害支援」など、3つの取り組みが新設された。

事務局長とチャリティ担当リーダーを兼任する池田勇太選手

事務局長とチャリティ担当リーダーを兼任する池田勇太選手

チャリティ担当理事には宮里優作選手が就任。また、これに先立つ6月22日の第2回理事会では、選手会副会長の池田勇太選手の事務局長、および新たに設置したチャリティ担当職のリーダー兼任が決まっている。コロナ禍で大きな活動方針転換を迫られた選手会だが、一丸となってゴルフで社会貢献していこうと積極姿勢を示した形だ。

そんな選手会の取り組みに対し、「リシャールミルジャパン基金(リシャールミルジャパン株式会社)」が、1000万円の支援を決定した。さらに8月26日には、新たなチャリティ活動の一環として「芥屋グループチャリティトーナメント」を開催。この大会のチャリティ金は、感染症対策に力を注ぐ地元の医療機関や九州・豪雨災害で被害を受けた自治体などに寄贈されるという。発起人は選手会長である時松隆光選手だ。

1試合でも多くトーナメントを成立させたいが、ファンとの触れ合いやギャラリー対応など、これまでのやり方は一切通用しないのが現状。そんなコロナと共存しながら取り組む選手会の施策は、少しずつ、かつ着実に実を結び始めているようだ。

一方、女子プロでもゴルフを通じた社会貢献活動の動きが出てきている。ランダムアソシエイツのマネジメント契約プロである藤田さいき、成田美寿々、テレサ・ルー、辻梨恵、大西葵、茂木宏美、大江香織、北田瑠衣の各選手が、医療従事者支援を目的としたチャリティプロジェクトを立ち上げた。

7月27日、東急セブンハンドレッドクラブ(千葉県)でスキンズマッチを行い、出場選手は総額310万円の賞金を全額寄付。加えてゴルフファンからチャリティ募金を募ったり、選手使用ギアのオークションを行ったりして多くの寄付金を集めた。

このチャリティ活動の全売上金は、『公益財団法人 風に立つライオン基金』から新型コロナ感染症対策緊急基金に寄付し、医療従事者支援に役立てられるという。

男女ゴルフ界をけん引する2人のスター選手も、チャリティ活動を行った。

エアーハイタッチをする石川選手、渋野選手 「笑顔」をキーワードに2人のチャリティマッチが実現した

エアーハイタッチをする石川選手、渋野選手
「笑顔」をキーワードに2人のチャリティマッチが実現した

テレビ朝日が、特別番組「石川遼×渋野日向子ドリームマッチfor CHARITY ~みんなで笑顔に~」を制作。医療従事者やスポーツファン、未来のゴルフ界のために「何かできることはないか…」と思案した石川選手に渋野選手が賛同したことによって生まれた番組だ。7月26日、系列24局で放送された。

このマッチは、選手がポイントを掛けた積み上げ方式の変則マッチで対戦。感染拡大防止策として定着しつつある“ニューノーマルゴルフ”も実践された。自らキャディバッグを担いで回り、ピンフラッグを抜かずにパッティング。一般アマチュアにプレーの新様式を広める狙いもあったという。日本外科感染症学会や各地のゴルフ関連団体などに必要物資が寄贈されている。

近年、日本ではゴルフ人口が減少傾向だが、アジア各国ではどうだろうか。

今年は新型コロナウイルスの影響でゴルフ界も大きなダメージを受けているが、まずは社会貢献という形でゴルフの存在意義をアピール。選手にとっても実戦の機会が与えられ、大きな励みとなっている。アフターコロナの時代を見据えて、ゴルフ界も少しずつ前へと動き始めているようだ。

左から茂木宏美、辻梨恵、テレサ・ルー、成田美寿々、藤田さいき、大西葵、大江香織選手

左から茂木宏美、辻梨恵、テレサ・ルー、成田美寿々、藤田さいき、大西葵、大江香織選手