GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝く若手有望選手は誰だ

日本ゴルフトーナメント振興協会では、毎年トーナメントを盛り上げた若手選手を対象に『GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー』を選出し、表彰している。これは「ゴルフトーナメント界の活性化のためには若手選手の育成が重要」との考えから、1998年にスタートした活動だ。
2016年は、女子ツアーから松森彩夏選手、ささきしょうこ選手、堀琴音選手が選出され、GTPA特別賞として畑岡奈紗選手が表彰された。男子ツアーからは残念ながら該当者なしだった。シーズン終盤を迎え、賞金王、賞金女王、そして来季のシード権をかけた勝負が熾烈さを増すなか、実力者たちに混じり、ルーキーはじめ若手の有望選手たちの活躍も目立つようになっている。
活躍著しく将来性のあるフレッシュな選手たちを対象に与えられるGTPAルーキー・オブ・ザ・イヤーの選考に入る時期を迎えている。
今季の同賞の行方を占い、候補に名前が挙がっている選手たちの、今季の活躍ぶりを紹介しよう。

※記録は11月5日現在のものです

強豪居並ぶ男子ツアーで大きな成長を見せた2選手

星野陸也選手

星野陸也選手


任成宰(イムソンジェ)選手

任成宰(イムソンジェ)選手

男子ツアーでGTPAルーキー・オブ・ザ・イヤーの候補に挙がっているのは、星野陸也選手と韓国のイムソンジェ選手の2選手だ。

そもそも男子ツアーは強豪選手の層が厚く、今シーズンも宮里優作選手、宮本勝昌選手、池田勇太選手、片山晋呉選手といった中堅・ベテラン勢がまだまだ元気だ。また、韓国をはじめ海外からの参戦も多く、女子に比べて試合数も少ないため、新人選手が活躍できるチャンスが少ないと言わざるをえない。経験値が大きくものをいうゴルフというスポーツにおいて、ルーキーが他の選手を凌ぐプレーを見せることは並大抵のことではないだろう。

そんななか、今年注目されている星野選手は2016年にプロ入りし、今季初めてツアーにフル参戦。賞金ランキングは現在34位だが、その抜群の飛距離で存在感を発揮している。186センチ・70キロという体格から繰り出すドライビングディスタンスは、295.37ヤードでランキング9位。そのドライバーを武器にバーディー率13位、イーグル率4位につけるなど、ダイナミックなゴルフでファンを楽しませてくれる。小学校1年生でゴルフを始め、ジュニア時代に知り合った5歳年上の石川遼選手に大きな影響を受けてきたという。まだまだ荒削りな面もあるが、これからの男子ツアーをけん引する存在となりそうだ。

もう一人、イムソンジェ選手はまだ19歳。2015年、高校在学中に日本のQTに1次から挑み、プロ宣言。その後ファイナルQTまで進んで19位に入った。16年に高校生プロとして日本ツアーに参戦し、「ダンロップ・スリクソン福島オープン」初日に首位タイ発進するなど注目を集めた。今季は優勝争いに加わる試合も増え、トップ10フィニッシュ8回をマーク。一方、予選落ちは2回と少なく、波の少ないゴルフができる。現在、賞金ランキング14位だ。181センチ・82キロという堂々とした体格だが、飛ばすだけでなくショートゲームでスコアをまとめる技術にも長けている。今後、日本人選手にとって大きな脅威となっていくだろう。

GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー選考基準

『男子はツアープロに転向してから、女子はプロテスト合格後またはプロテスト合格者以外ではじめにTPD登録をした者でそれぞれ「レギュラーツアーに初参戦してから最長2シーズン以内(海外ツアーを含む)、但し初年度は全試合数の三分の一以内の出場であれば、その年は含まない」且つその年度の「来季」シード権獲得者の中から、人格面並びにマナー、エチケット、話題性、将来性を加味して選考する。』

今シーズン優勝を飾った4選手、女子ツアーの中心選手として期待大

川岸史果選手

川岸史果選手


森田遥選手

森田遥選手


畑岡奈紗選手

畑岡奈紗選手


永井花奈選手

永井花奈選手

女子ツアーは、今季も多くの若手プロが誕生した。もちろんGTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー候補も数多い。

その筆頭に挙げられるのが川岸史果選手だ。ここまで賞金ランキング7位。父は“怪物”の異名をとった川岸良兼選手。ゴルフサラブレッドともいえる逸材だ。アマチュア時代から注目される存在だったが、プロテスト合格は4度目と苦労を重ねた。しかし、ルーキーイヤーとなる今季初戦の「ダイキンオーキッドレディス」でいきなり単独2位。その後も新人らしからぬ戦いぶりで、ベテランの風格さえも感じさせる。初優勝は9月の「マンシングウェアレディース東海クラシック」。最終日、6連続を含む8バーディー・ノーボギーの猛チャージで、見事な逆転勝利であった。166センチ・75キロという体格から繰り出すドライバーショットは、ツアー2位となるドライビングディスタンスを記録。今後も、ダイナミックなゴルフに期待が集まる。

一方、昨シーズンからフル参戦している森田遥選手も、今季GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤーの有力な候補だ。8月の「北海道meijiカップ」で初優勝を飾っている。この試合、最終日は首位に2打差の3位タイでのスタートだったが、6バーディー1ボギーの67をマーク。持ち前の手堅いゴルフを展開し、新人らしからぬ落ち着いたゴルフで逆転優勝した。ここまでトップ10フィニッシュは7回で、賞金ランキング15位。平均パット数(合計)のランキングは2位と、どんな状況からもねじ込むパッティング技術でツアートップをも脅かす存在に成長している。両親は中国出身の元卓球選手。アスリート・エリートとしての血を受け継ぐだけに、その身体能力は折り紙付き。今後の活躍も大いに期待できそうだ。

昨年もGTPA特別賞を受賞している畑岡奈紗選手も注目候補者の一人だ。昨季と今季の「日本女子オープン」で、1976-77年の樋口久子選手以来40年ぶりとなる連覇を達成。しかも今季は、前週の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」に続く2週連続優勝を果たした。今季9試合の出場ながら、賞金ランキング12位。昨季、史上初のアマチュア優勝、史上最年少優勝を飾った「日本女子オープン」終了後にプロ入りし、今季は米ツアーに挑戦していたが、日本に戻ったとたんに2週連続優勝と、その潜在能力の高さを証明した。野球や陸上で鍛え上げた強い体幹から、力強くブレないショットを放つ。並外れた精神力の持ち主であることも明らかだ。これからの女子ツアーをけん引していく、中心的な選手となるだろう。

10月の「樋口久子 三菱電機レディスゴルフトーナメント」で初優勝を飾った永井花奈選手も、候補に名乗りを上げた。2016年最終プロテストのトップ合格者で、2年目となる今季は随所でその実力を発揮している。「サマンサタバサ ガールズコレクション・レディース」5位タイ、「大東建託・いい部屋ネットレディス」単独4位など、トップ10フィニッシュ9回をマーク。堅実なプレーで来季の初シード権もすでに確実のものにし、ツアー初優勝も時間の問題となっていた。155センチ・55キロと小柄だが、正確なショットで好成績を納めている。飛距離とショットの精度が向上すれば、さらなる飛躍も期待できる。

これらの選手のうち、今季GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝くのはいったい誰なのだろうか。この4人全員にその可能性がある。発表を待ちたい。

過去10年のルーキー・オブ・ザ・イヤー受賞者

 

男子

女子

2016

 

堀 琴音・松森 彩夏・ささき しょうこ

2015

今平 周吾

藤田 光里

2014

 

渡邉 彩香・鈴木 愛

2013

松山 英樹・川村 昌弘

比嘉 真美子・堀 奈津佳

2012

藤本 佳則

成田 美寿々・斉藤 愛璃

2011

黄 重坤

 

2010

薗田 峻輔

藤本 麻子

2009

池田 勇太

森田 理香子

2008

石川 遼

三塚 優子・原 江里菜・服部 真夕

2007

李 丞鎬

上田 桃子