GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー候補選手紹介<2023年度>

シーズンを沸かせた若手選手への最高の名誉
GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤーは誰の手に

コロナ禍を乗り越え、トーナメント会場にようやく以前のような大歓声が戻ってきた2023シーズン。男女とも、厚い選手層の中で力のある若手選手の活躍も目立った。シーズン終了後には、1998年以来トーナメントの活性化と若手選手の育成を目指し、活躍著しく将来性のある選手に送られてきた「GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー」の表彰が控える。今季の有力候補を探ってみよう

※記録は10月30日現在のものです

中島啓太選手

中島啓太選手

蟬川泰果選手

蟬川泰果選手

平田憲聖選手

平田憲聖選手

賞金ランキング上位に居並ぶ総合力に長けた若手選手たち

現在、男子ツアーで初の賞金王獲得に向けて首位をひた走る金谷拓実選手は、2年前の「G T PAルーキー・オブ・ザ・イヤー」受賞者だ。本賞はレギュラーツアー最長2シーズン以内の選手に贈られる、若手プロゴルファーにとって一度きりの名誉だが、金谷選手のように受賞後に大きく羽ばたき、ツアーの中心選手に成長していった例は枚挙にいとまがない。

では、2023シーズンの男子ツアーから本賞の有力候補選手を見てみよう。

まず名前が挙がるのは、金谷選手をぴたり追走する現在賞金ランキング2位の中島啓太選手。金谷選手の2年下の23歳だ。

中島選手は、日本体育大3年時の2021年に「パナソニックオープン」で男子ツアー史上5人目となるアマチュア優勝を飾り、翌2022年はアマチュア世界ランキング1位に授与されるマコーマックメダルを初めて2年連続で獲得し、プロ転向した。

今季は「AS O 飯塚チャレンジドゴルフ」「横浜ミナトChampionship ~Fujiki Centennial ~」でプロ2勝。ここまで18試合に出場してトップ10フィニッシュ13回、予選落ち1回と、抜群の安定感を見せている。バーディ率、トータルドライビングでトップに立ち、平均ストロークでも2位を維持。飛んで曲がらない理想的なプレースタイルに加え、常にポーカーフェイスで沈着冷静。メンタル面の強さも魅力だ。

昨年、GTPA特別賞を受賞した蟬川泰果選手も有力候補の一人になっている。

東北福祉大4年だった昨年、「パナソニックオープン」、そして「日本オープン」を制してアマ2勝を飾ったことから特別賞が贈られたわけだが、プロ入りした今季も現在賞金ランキング4位と、その勢いは止まらない。

2戦目の「関西オープン」でプロ初優勝を飾り、その後もコンスタントに上位に顔を出す。平均飛距離は310ヤードを超え、イーグル率1位と、その瞬発力が大きな魅力だ。また、明るくファンサービスも積極的という性格もプロ向き。本賞の受賞要件は実力だけでなく、話題性や将来性、そして人間性も加味されるが、ツアーを盛り上げていこうというその気持ちも大きく評価されるだろう。

蟬川選手と同じく22歳で、現在賞金ランキング6位につけている平田憲聖選手も躍動している若手の一人。

今年は、5月の「〜全英への道〜ミズノオープン」で早々にプロ初勝利を挙げ、さらに7月の「日本プロゴルフ選手権」は4日間首位を譲らない完全優勝で制覇し、プロ2勝目をメジャー大会で飾った。ここまで20試合に出場し、トップ10フィニッシュ6回。

リカバリー率10位と、粘り強く拾ってパーセーブする堅実なプレースタイル。日本開催米ツアー「Z O Z Oチャンピオンシップ」では、石川遼選手に次ぐ6位タイフィニッシュ。これは日本人選手で2位となる成績だった。大舞台での活躍は本人にとって大きな自信になっただろうし、周囲の期待度もより一層高まっている。

岩井明愛選手

岩井明愛選手

櫻井心那選手

櫻井心那選手

神谷そら選手

神谷そら選手

今季も実力・人気を兼備する新世代のスターが続々登場

続いて女子ツアーだ。近年は黄金世代に始まり、はざま世代、プラチナ世代などと、年を経るごとに新しい世代の若手選手が登場。毎年のように注目選手の顔ぶれが変わり、それが女子ツアーの魅力の一つにもなっている。今季もニューヒロインが誕生しており、本賞受賞候補の逸材探しも苦労はしない。

その筆頭格は3勝をマークし、メルセデス・ランキング3位につけている岩井明愛選手。2002年生まれの21歳だ。

昨季、双子の妹・千怜選手と共にレギュラーツアーに本格参戦すると、“ 岩井ツインズ”としてたちまち注目の的になった。そのルーキーイヤーは千怜選手が先にプロ初勝利を挙げ、明愛選手は未勝利。姉として悔しいシーズンになったはずだ。

その悔しさをバネにオフを過ごした今季は、4月の「KKT杯バンテリンレディス」で悲願の初優勝。双子姉妹揃っての優勝は史上初の快挙だった。さらに「住友生命Vitalityレディス東海クラシック」「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で2週連続優勝を成し遂げ、昨季の雪辱を晴らした形だ。

5月の「RKB×三井松島レディス」では姉妹プレーオフも実現させるなど、話題性でも女子ツアーを大きく盛り上げている。シュアなスイングから強気に攻めていくスタイルで、ますますファンの注目を集めていきそうだ。

ダイヤモンド世代と呼ばれる2003年度生まれの一人、櫻井心那選手にも注目したい。今季4勝を挙げ、メルセデス・ランキング5位と大躍進。

昨季、18歳でステップ・アップ・ツアーの賞金女王タイトルを獲得。今季からレギュラーツアーに初参戦すると、「資生堂レディス」でプロ初優勝。さらに「楽天スーパーレディース」「ゴルフ5レディス」「富士通レディース」と勝利し、10代にして4勝をマークした。これは宮里藍さん、畑岡奈紗選手に次いで史上3人目の快挙だ。

ドライバーの平均飛距離は257.19ヤードでランキング4位。この大きなアドバンテージで、史上初の10代5勝目も期待される。

やはりダイヤモンド世代の20歳、櫻井選手と同学年の神谷そら選手も候補の一人。

昨年プロテストに合格し、ルーキーイヤーの2023年4月の「フジサンケイレディス」でプロ初優勝。さらに9月の「日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯」でメジャー奪取にも成功した。現在メルセデス・ランキング14位。

最大の武器は260.37ヤードというドライビングディスタンス。堂々のランキング1位だ。予選落ちも多く安定感には欠けるが、フェアウェイキープ力やショートゲームの技術など、課題ははっきりしているだけに、今後の努力次第で大きな飛躍が期待できる。本賞をきっかけに、さらなる高みへと羽ばたく逸材の一人と言えるだろう。

今年も力のある若手選手が揃った。受賞者はシーズン終了後の12月に発表されるので、結果を楽しみに待ちたい。

 

過去10年のルーキー・オブ・ザ・イヤー受賞者

男子

女子

2022

桂川 有人

川﨑 春花

2020-2021

金谷 拓実

古江 彩佳

2019

比嘉 一貴

渋野 日向子・河本 結・稲見 萌寧・原 英莉花

2018

星野 陸也

小祝 さくら・勝 みなみ・松田 鈴英・新垣 比菜

2017

任 成宰

川岸 史果・森田 遥・畑岡 奈紗・永井 花奈

2016

堀 琴音・松森 彩夏・ささき しょうこ

2015

今平 周吾

藤田 光里

2014

渡邉 彩香・鈴木 愛

2013

松山 英樹・川村 昌弘

比嘉 真美子・堀 奈津佳

2012

藤本 佳則

成田 美寿々・斉藤 愛璃

GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー選考基準

『男子はツアープロに転向してから、女子はプロテスト合格後またはプロテスト合格者以外ではじめにTP登録をした者でそれぞれ「レギュラーツアーに初参戦してから最長2シーズン以内(海外ツアーを含む)、但し初年度は全試合数の三分の一以内の出場であれば、その年は含まない」且つその年度の「来季」シード権獲得者の中から、人格面並びにマナー、エチケット、話題性、将来性を加味して選考する。』