GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー候補選手紹介<2024年度>
2024GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー
高いレベルの注目候補たちが熾烈な戦い
今年もGTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー選考の時期がやってきた。
めざましい活躍をみせ、将来性の高い若手選手に贈られるこの最高の栄誉は、今年いったい誰に贈られるだろうか。
本賞の栄誉、昨年度受賞者の活躍などに触れながら、今季の有力候補者を紹介していこう。
※記録は10月27日現在のものです
杉浦 悠太選手/p>
米澤 蓮選手
蟬川 泰果選手
アマチュア優勝で特別賞を受賞した
杉浦悠太選手を軸に三つ巴の争い
1998年に創設されたGTPAルーキー・オブ・ザ・イヤーは、今年で26回目を迎える。第1〜25回にこの表彰を受けた選手は66人。また、21人の選手には特別賞(当該年度において、めざましい活躍とゴルフトーナメントの振興・発展に寄与した選手を表彰)が贈られている。その両方を受賞した選手はこれまで9選手いるが、そのうち松山英樹、渋野日向子、古江彩佳は海外メジャーを獲得し、現在も世界を舞台とした活躍を見せている。
男女とも毎年数十人のプロゴルファーが誕生するが、そのうちツアーに参戦できる選手は厳しいQ Tを勝ち抜いたごく一握り。そしてデビュー 2シーズン以内に来季シード権を獲得するなど好成績を残せる選手はほんの数人だ。ましてや、シーズンを代表する若手選手に与えられる本賞に選出されることなど並大抵のことではない。冒頭に挙げた選手たちがどれほど頭抜けているかわかるだろうし、ここで今季の受賞候補として名前が挙がることだけでも、とても名誉なことだと理解いただけるだろう。
2023年に本賞を受賞したのは、男子は中島啓太選手、女子は櫻井心那選手だった。
中島選手は優勝3回を含む17回のトップ10入りを果たし、ツアー史上3番目の若さで賞金王に輝いたことが高く評価された。櫻井選手は 260ヤードに届かんとするドライバーショットを武器に、ツアー史上3人目となる10代で4勝を達成したことが主な表彰理由だった。
今季、中島選手はDPワールド(欧州)ツアーを主戦場にし、ヒーローインディアンオープンで初優勝を飾るなど、順調に活躍の場を広げている。一方、櫻井選手は今季未勝利だが、それでもメルセデス・ランキング27位とシード圏内を確保。両選手とも本賞受賞の名に恥じない活躍を継続している。プロゴルファーとして歩んでいく上で、本賞は選手に大きな自信を与える要素となっている。
そんな本賞受賞の偉大さ、受賞の難しさに想いを馳せつつ、今年度の受賞候補を紹介していこう。2024シーズンの受賞資格対象となる選手を男女ともに現在の成績から20選手を別表にピックアップした。
まずは男子選手からみていこう。来季のシード圏内に8選手もいる活躍だ。
中でも、今年の受賞の最右翼となるのは杉浦悠太選手だ。プロ2年目の23歳で、現在賞金ランキング6位だ。
日本大学在学中の2022年の日本オープンでは、蟬川泰果選手がアマチュア優勝を飾って話題になった陰で3位に入賞。そして2023年、ダンロップフェニックス50回記念大会で、同大会としては初のアマチュア優勝を飾ってプロ入りした。その功績が讃えられ、昨年度は本賞の特別賞を受賞している。
プロとして本格的に活動を始めた今季は、 7月のメジャー競技の日本プロゴルフ選手権で通算2勝目を飾ったほか、トップ10フィニッシュ 6回と安定したプレーを続けている。
平均ストロークは70 . 419でランキング8位。サンドセーブ率2 位、平均パット6 位など、グリーン周りでのスキルに長け、スキのないゴルフでさらなる上位を目指している。
杉浦選手に続いて現在賞金ランキング7位の米澤蓮選手も、有力な受賞候補だ。
ジュニア時代からほぼ独学で腕を磨いてきたという変わり種で、東北福祉大では2020-21年に本賞を受賞した金谷拓実選手の1年後輩にあたる25歳。大学4年時の2021年末にプロ転向したので今年はプロ3シーズン目だが、初年度は試合出場数が選考基準にある三分の一以内のため今季まで受賞資格がある。
プロ入り当初はパッティングに苦しんだが、それも徐々に復調。初シードをつかんだ今季は、5月の中日クラウンズでプロ初優勝を飾り、さらに8月の横浜ミナトChampionshipで早々に2勝目もつかみ取った。どちらも逆転での勝利で、苦労の末に培った精神力の強さを感じさせる。大きく開花した今季、さらなる勲章を増やすことができるか。
東北福祉大4年時の2022年、アマチュアながら日本オープンを含むツアー 2勝を挙げ、本賞特別賞を受賞した蟬川泰果選手も、今季の本賞受賞の有力候補の一人だ。
プロになった2023年も関西オープン、ゴルフ日本シリーズJTカップで2勝を挙げ、昨年度も有力候補となり、中島選手と最終戦まで選考を争った。23歳で、すでに通算4勝を数え、プロ2年目としては申し分ない成績だが、今季は未勝利で賞金ランキング20位。7月の日本プロゴルフ選手権の2位が最高で、トップ10フィニッシュ 4回という成績は、本人としては不満だろう。それでもドライビングディスタンス位、平均ストローク9位と、スタッツ上は不調というほどではない。一つ歯車が噛み合えばいつでも勝てるポテンシャルを持っているだけに、シーズン最終盤の巻き返しに期待がかかる。
本誌4月号では、アマチュアでツアー優勝を成し遂げた選手がプロとなり、本賞を獲得するケースが多いと述べ、今年の有力候補として杉浦選手と蟬川選手の名前を挙げていた。まさにその通りの展開となっているが、最終結果はシーズン終了までもつれるだろう。
小林 夢果選手
小林 光希選手
神谷 そら選手
今季未勝利でも女子ツアーを盛り上げる
3人の選手が熾烈な争いを展開中
さて、女子選手もみていこう。別表にあるように、まだ受賞資格対象選手の今季優勝はない。来季のシード権獲得に向け、多くの選手が奮闘中だ。
その筆頭に立つのは小林夢果選手だ。高校在学中の2021年にプロテストを受けて一発合格。2023年にはステップ・アップ・ツアーの京都レディースオープンで初優勝を飾った。今季からツアーに本格参戦し、現在メルセデス・ランキング30位の21歳だ。
開幕から2戦は予選落ちとなったが、アクサレディスで自己最高の3位フィニッシュ。その後、波はあるものの、2度のリランキングを上位で突破、トップ10入りも8回決める底力をもつ。
ジャンボ尾崎氏に師事し、得意クラブはドライバー。ドライビングディスタンスはランキング 5位だ。師匠からは「運動能力がある」と高い評価も得ているが、まだまだ荒削り。そのぶん伸び代があるとも言えるだろう。来季に向けてさらなる成長を期待したい。
候補2番手をいく小林光希選手は岡山県出身の22歳で、ルーキーイヤーの2023年はステップ・アップ・ツアーで1勝し、今季からレギュラーツアーに本格参戦している。4月のフジサンケイレディスでは、自身初のハーフ「29」をマークして2位に入った。それを含めてトップ 10フィニッシュは5回を数える。9月の住友生命Vitalityレディス 東海クラシックでも5位に入り3度目のベストルーキー賞を獲得。あとは初優勝を待つばかりの状態だ。
明るい性格でファンが多く、後援会もある。ファンに好かれることもプロの重要な条件。本賞選考委員には、このあたりも評価されるかもしれない。
最後に紹介するのは神谷そら選手だ。ルーキーイヤーの2023年4月、フジサンケイレディスでツアー初優勝を飾ると、さらに9月の日本女子プロゴルフ選手権でメジャー初戴冠。昨年度に本賞を受賞してもおかしくない成績だったが、櫻井選手がさらにその上をいく活躍を見せたため、惜しくも選にもれた。
資格の残る今季は開幕戦のダイキンオーキッドレディス4位など、トップ10フィニッシュを5回マークしているが未勝利。本人にとっては悔しいシーズンとなっているはずだ。
ドライバーショットの飛距離は260ヤードを超え、ランキング3位。そのメリットを活かしたイーグル数は6回を数えて4位つけている。豪快なだけでなく、パッティングが上手いことも強みだ。現在メルセデス・ランキング41位だが、勝ち方を知っているだけにシーズン最終盤で大きなジャンプアップがあるかもしれない。
男女とも3人ずつの受賞資格対象選手を紹介してきたが、まだまだ試合数は残っている。男子は賞金ランキングということもあり、別表外の選手でも成績次第では大きくランキングをジャンプアップさせる可能性を秘めている。女子は先輩選手の厚い壁を破り、優勝を手にできれば、本賞の最有力候補へと一気に注目を集めるだろう。
今季のGTPAルーキー・オブ・ザ・イヤーはいったいどの選手が獲得するだろうか。シーズン終了後の発表を待ちたい。
過去10年のルーキー・オブ・ザ・イヤー受賞者
男子 |
女子 |
|
---|---|---|
2023 |
中島 啓太 |
櫻井 心那 |
2022 |
桂川 有人 |
川﨑 春花 |
2020-2021 |
金谷 拓実 |
古江 彩佳 |
2019 |
比嘉 一貴 |
渋野 日向子・河本 結・稲見 萌寧・原 英莉花 |
2018 |
星野 陸也 |
小祝 さくら・勝 みなみ・松田 鈴英・新垣 比菜 |
2017 |
任 成宰 |
川岸 史果・森田 遥・畑岡 奈紗・永井 花奈 |
2016 |
|
堀 琴音・松森 彩夏・ささき しょうこ |
2015 |
今平 周吾 |
藤田 光里 |
2014 |
|
渡邉 彩香・鈴木 愛 |
2013 |
松山 英樹・川村 昌弘 |
比嘉 真美子・堀 奈津佳 |
2012 |
藤本 佳則 |
成田 美寿々・斉藤 愛璃 |
GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー選考基準
『男子はツアープロに転向してから、女子はプロテスト合格後またはプロテスト合格者以外ではじめにTP登録をした者でそれぞれ「レギュラーツアーに初参戦してから最長2シーズン以内(海外ツアーを含む)、但し初年度は全試合数の三分の一以内の出場であれば、その年は含まない」且つその年度の「来季」シード権獲得者の中から、人格面並びにマナー、エチケット、話題性、将来性を加味して選考する。』