GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー候補選手紹介<2025年度>
2025GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー
多くの若手選手が活躍した今シーズン最後に栄冠を勝ち取るのは誰だ
今年もGTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー選考の季節がやってきた。レギュラーツアーで活躍するようになって間もない選手に贈られる名誉あるタイトルだ。今シーズンも多くの新星たちが目覚ましい活躍を見せている。本賞受賞の注目候補を紹介しよう。
※記録は10月27日現在のものです
下家 秀琉選手
岡田 晃平選手
出利葉 太一郎選手
驚異的爆発力を持つ 下家秀琉選手を中心に個性豊かな 若武者たちが高いレベルで競う
1998年に創設され、今回で27回目となるGTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー。レギュラーツアー参戦2年以内の選手が主な対象者となるが、その選考基準は単に成績だけではなく、人格面やマナー、エチケット、話題性、将来性なども合わせて総合的に評価される。若手時代にこの表彰を受け、その後に大きく羽ばたいた選手は数多く、プロゴルファーにとっては最初の名誉ある賞となる。
まずは男子選手の注目候補を紹介しよう。
最初に名前が上がるのは、プロ2年目の下家秀琉選手だ。今季は17試合に出場し、トップ10フィニッシュ3回、獲得賞金約3800万円でランキング18位につけている。10月の「バンテリン東海クラシック」でツアー初優勝を飾ったが、その最終日は圧巻の64をマーク。大会記録となる通算17アンダーでの勝利だった。プロデビューした2024年には、チャレンジツアーの「PGM Challenge」最終日に59を叩き出し、チャレンジツアー新記録の通算24アンダーで優勝したこともある。
この驚異的な爆発力を裏付けるデータは、今季のイーグル数11回にも表れ、これは全選手中で1位だ。勝負勘の鋭さと思い切りの良さこそが、下家選手の最大の特徴と言えそうだ。2人の兄の影響でゴルフを始めたというが、その兄たちも舌を巻くほどの練習の虫。ゴルフと向き合うその真摯な姿勢こそが、大きな評価ポイントとなる。
同じくプロ2年目の岡田晃平選手も将来性豊かな有力候補の一人だ。今季は18試合に出場し、優勝こそないがトップ10フィニッシュ4回、獲得賞金約2140万円でランキングは現在38位。
その実力はジュニア時代から折り紙付きで、2016年の中学3年時には「日本ジュニア」(12~14歳の部)を制し、2022年、東北福祉大2年の時には1学年上の蟬川泰果選手らを抑えて「日本アマ」で優勝。「世界アマ」代表にも選出されている。アマチュアとして出場した2023年の「日本ゴルフツアー選手権」15位、「日本オープン」18位(ローアマ)に入るなど、アマチュアの主要タイトルは全て獲得した。現在、ドライビングディスタンスは302ヤードで13位。自慢の飛距離でツアー優勝を飾ることができれば、本賞受賞の確率も大きく上がる。
現在賞金ランキング55位の出利葉太一郎選手も、下家選手、岡田選手と同学年でプロ2年目。昨年末のファイナルQTを55位とし、今季はレギュラーツアーの出場が限られる立場だったが、開幕戦の「東建ホームメイトカップ」で3位に入り、出場優先順を入れ替えるリランキングでジャンプアップ。シーズン後半戦の出場機会を増やし、来季のシード権獲得も視野に入れた。180センチの長身から繰り出すビッグドライブが武器で、ドライビングディスタンスは311.55ヤードで第3位。この飛距離を生かしたアグレッシブなゴルフこそが彼の強みだ。「東建ホームメイトカップ」ではアルバトロスも達成している。アメリカ挑戦も目指すなど、ゴルフに対する貪欲な姿勢が評価の対象となっている。
丸尾怜央選手は2006年12月生まれ、弱冠18歳のプロゴルファーだ。2021年、中学3年の時に「日本ジュニア」(12~14歳の部)で優勝、日章学園高校に進んだ翌2022年には「九州ジュニア」(15~17歳の部)を制している。2024年には「全英アマ」にも出場し、その年のQTに挑戦。ファイナルまで勝ち上がってプロ宣言した。
デビューイヤーの今季は「ジャパンプレーヤーズチャンピオンシップ」で6位に入り、大器の片鱗を見せた。苦手のないオールマイティさが武器だが、それぞれのさらなるレベルアップは今後の課題。多くの経験を積み、優勝争いに絡めるようになれば、本賞受賞の可能性も高まっていくだろう。

人気選手に成長した菅楓華選手を筆頭に今季ツアー初優勝を飾った5人に注目
女子ツアーでは、例年以上に新世代の台頭が目立つ。プロ入り間もない選手が上位に食い込み、優勝争いに加わる場面も増えている。昨年は残念ながら女子ツアーから本賞受賞選手は出なかったが、今年は新たなスターが誕生する年になりそうだ。今季初優勝を飾った女子選手5人が、本賞候補に名前が上がっている。順に紹介しよう。
筆頭格は菅楓華選手だ。プロデビュー2年目の今季は30試合に出場し、トップ10フィニッシュは14回。現在メルセデス・ランキング4位で、すでに女子ツアーの中心的存在だ。9月の「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」で待望の初優勝。2打差に15人がひしめく大混戦の最終日に、65のビッグスコアを叩き出したその精神力、勝負勘は世代屈指だ。
菅選手の最大の特徴は、そのスイングの美しさだ。168センチと日本の女子選手の中では高身長。上下左右のブレが少なく、ゆったりとしたフォームから放つショットは安定感抜群。平均ストローク70.5 (5位)という好成績も納得だ。安定したスイングと、ここ一番でのメンタルの強さは、本賞の選考でも大いに評価されるところとなる。
菅 楓華選手
荒木 優奈選手
一方、9月の「ゴルフ5レディス」でツアー初優勝を遂げた荒木優奈選手は、156センチと小柄ながら、キレの良いアイアンショットが特徴の注目株だ。優勝した大会は台風接近のために1日目が中止となる短縮競技だったが、その最終日に3連続バーディーを奪うなど、超攻撃的。緊張する場面でもショットの精度は抜群で、混戦を抜け出して初勝利を自らの手で手繰り寄せた。今季の平均バーディー数は3.68で6位。高いショット力で積極的に攻める姿が浮かび上がる。
2022年に「日本ジュニアゴルフ選手権」優勝、2023年には「オーストラリアン・マスター・オブ・アマチュア」で日本人2人目となる勝利をつかむなど、アマチュア時代からその実力には定評がある。ショットとパットが噛み合えば、さらに勝利を重ねていける逸材であることには間違いなく、今後の活躍が楽しみな選手の一人だ。
まだ19歳の入谷響選手は、中嶋常幸選手が主宰する「トミーアカデミー」出身。6月の「ニチレイレディス」でツアー初優勝を飾っている。今季31試合に出場してトップ10フィニッシュ6回、メルセデス・ランキング23位は立派だ。
彼女の強みは、まずはその圧倒的な飛距離。ドライビングディスタンス258ヤードは全選手中第4位で、時には300ヤードにも届きそうなティーショットを放つ。加えてアイアンの弾道の高さ、スピン量とも抜群。距離感も良く、フェアウェイからならどんなグリーンでも止められるというショット力が大きな武器となっている。バックスイングで顔が右を向く独特なフォームでも話題を集める。
1~2年で5勝を挙げ、将来的には米ツアーで戦いたいという夢がある。パワフルかつ確かな技術で、世界の扉を開くことができるか注目だ。
現在、メルセデス・ランキング32位の髙野愛姫選手も今季初優勝組の一人。プロ2年目の21歳で、埼玉栄高では岩井明愛・千怜姉妹の2学年後輩になる。6月の「ヨネックスレディス」では、最終日に64のビッグスコアを叩き出し、4打差をひっくり返す大逆転でのツアー初優勝をものにした。
髙野選手の強みは、そのオールラウンダー性。特に目を見張るようなデータこそないが、ショット、パッティングともに高いレベル。今季は易しいUTを使うことでドライバーの飛距離不足も補い、好成績につながっている。
最後に紹介するのはプロ2年目の稲垣那奈子選手。2000年生まれのプラチナ世代の一人で、現在メルセデス・ランキング37位。今年5月の「リゾートトラストレディス」で、待望のツアー初優勝を飾った。この試合、「タッチの弱さは自分の気持ちが弱いから」と、強気のパッティングでパーセーブを重ね、苦しみながらも逃げ切った。弱気は勝負の最大の敵、常に強い心を持ち続けようとしてきた努力が実った瞬間だった。
アマチュア時代は2018年の「アニカ・ソレンスタムインビテーショナル」で優勝、2021年「アジアパシフィック女子アマチュア選手権」で5位に入るなどの成績を収めてきたが、ツアー優勝を飾ったことで「もう下手なゴルフはできない」と、以前よりも真剣にゴルフに向き合う日々。シーズン後半に入り、より安定的に戦えるようになっている。
現在の女子ツアーはまさに戦国時代。ルーキーからベテランまで、それぞれが個性を発揮しながら高いレベルで戦い、ツアー全体を盛り上げている。常に目が離せないツアーになっているが、本賞の受賞をきっかけに、より強く、より魅力的な新ヒロインが誕生することになりそうだ。
入谷 響選手
髙野 愛姫選手
稲垣 那奈子選手
過去10年のルーキー・オブ・ザ・イヤー受賞者
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男子 |
女子 |
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|---|---|---|
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2024 |
杉浦 悠太 |
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2023 |
中島 啓太 |
櫻井 心那 |
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2022 |
桂川 有人 |
川﨑 春花 |
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2020-2021 |
金谷 拓実 |
古江 彩佳 |
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2019 |
比嘉 一貴 |
渋野 日向子・河本 結・稲見 萌寧・原 英莉花 |
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2018 |
星野 陸也 |
小祝 さくら・勝 みなみ・松田 鈴英・新垣 比菜 |
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2017 |
任 成宰 |
川岸 史果・森田 遥・畑岡 奈紗・永井 花奈 |
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2016 |
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堀 琴音・松森 彩夏・ささき しょうこ |
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2015 |
今平 周吾 |
藤田 光里 |
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2014 |
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渡邉 彩香・鈴木 愛 |
GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー選考基準
『男子はツアープロに転向してから、女子は初めにJLPGAへ入会してから、それぞれ「初年度、翌年度の2シーズン(海外ツアー、国内下部ツアー等出場期間含む)を対象とし」且つ「その年度の来季シード権獲得者の中から」、人格面並びにマナー、エチケット、将来性を加味して選考する。』















