2015年の国内男女ツアーを振り返る
鬼の強さが復活した金庚泰選手の躍動
2015年の男子プロゴルフツアーは4月の「東建ホームメイトカップ」で開幕した。開幕からの3試合は連続して外国人選手の優勝が続く流れとなった中、その流れにストップをかけたのは第4戦の「関西オープンゴルフ選手権競技」を制した片岡大育選手。
片岡選手は悲願だった国内ツアー初優勝となった。続く翌週の「~全英への道~ミズノオープン」ではホストプロでもあるベテランの手嶋多一選手が若手を退けて8度目の優勝を飾った。その後、6月の「THE SINGHA CORPORATION THAILAND OPEN」では2010年の賞金王で“鬼”と呼ばれた金庚泰選手が3年振りとなる復活優勝を果たした。それを皮切りに金庚泰選手はシーズンを終わってみれば5勝という圧倒的な強さを見せつけて2位以下に6,000万円以上の差をつけて2度目の賞金王を引き寄せる活躍を見せた。
快進撃を続ける金庚泰選手に結果的に水をあけられたが、最後まで逆転の可能性を追い続けて自身最高位の賞金ランキング2位につけたのは宮里優作選手。宮里選手は「ダンロップフェニックストーナメント」を制し、ベスト10フィニッシュ9回を数える抜群の安定度を誇った。選手会長3期目の池田勇太選手も「RIZAP KBCオーガスタ」で初代チャンピオンに名を刻み、ベスト10フィニッシュ9回。
賞金ランキング3位と存在感を発揮してみせた。「プロ入り20年目で30勝、生涯獲得賞金20億円突破」を掲げて話題を提供したのは片山晋呉選手。「三井住友VISA太平洋マスターズ」での勝利で29勝としたベテランは、続く「ダンロップフェニックストーナメント」11位タイで尾崎将司選手に次ぐ史上2人目の20億円突破を果たすも30勝目は来季へのお楽しみとした。
9月には米ツアーから石川遼選手が一時帰国参戦し初戦となった「ANAオープン」で早々に優勝を飾って見せた。石川選手はその後、6試合に出場し最終戦の「ゴルフ日本シリーズJTカップ」も制して自身初めてとなる日本タイトルも掴み取った。石川選手は国内参戦7試合の内、優勝2回、2位1回という好成績を残し、米ツアーで培った技術を存分に披露して、日本のファンにその実力と存在感をアピールした。
イ ボミ選手の大躍進と内外の若手実力選手の覚醒に湧く
シーズン開幕戦の「ダイキンオーキッドレディス」を幸先良く制したのはテレサ・ルー選手。テレサ・ルー選手は、その後、公式戦を含む年間5勝を挙げてイ ボミ選手と終盤まで賞金女王を争った。
4月には「ヤマハレディースオープン葛城」で渡邉彩香選手が自身初となる4日間大会を制した。その勢いは止まらず、好調を維持したまま10月の「樋口久子Pontaレディス」で本人の目標でもあったシーズン2勝目を手にした。終わってみれば日本人最上位、ただ1人の1億円越えで賞金ランキング6位へと躍進した。
「KKT杯バンテリンレディスオープン」では菊地絵理香選手が2位に5打差をつける大差で念願のツアー初優勝を飾った。優勝を含むトップ10入りが14回という安定したシーズンを送り、賞金ランキング8位と飛躍した。翌週の「フジサンケイレディスクラシック」ではプロ転向3年目の若手注目株の一人である藤田光里選手がついにツアー初優勝を飾っている。
公式戦の「ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ」で日本ツアー初参戦となった韓国の新星、現役女子大生ゴルファーのチョン インジ選手が2位に4打差を付ける大差の勝利で存在をアピールするや、海外メジャーの「全米女子オープン」も制覇。そして再び来日参戦となった公式戦の「日本女子オープンゴルフ選手権競技」を制し、一気に日本のファンを引き付けた。
また何より2015年シーズンはイボミ選手の1年であったと言っても過言ではない。年間7勝は史上5人目の快挙。
スタッツを見てもメルセデス・ランキング、年間獲得賞金、平均ストローク、パーオン率、平均パット数、パーセーブ率でトップとなる圧倒的な強さを見せた。
中でも年間獲得賞金の2億3,000万円越えはプロツアー施行後の最高額でもあり、男子ツアーを合わせても伊澤利光選手の持っていた記録を更新して最高獲得賞金となった。LPGAアワードでイボミ選手は「200点を付けてもいい」と2015年を総評した。また、世界ランキングも15位(2015年12月22日現在)に付け、本人も「リオデジャネイロ オリンピックを目指したい」と公言しており、厚い選手層で知られる韓国でも代表になれる可能性は大いにある。