GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤーに 輝く選手は誰か

GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤーは、「ゴルフトーナメント界の活性化のためには若手選手の育成が重要」と考え、1998年にスタートし、シーズンを通じて活躍した若手選手を毎年表彰し、エールを送ってきた。




今季の国内ツアーは、男子はインドネシアPGAチャンピオンシップでの松村道央選手の優勝から始まり、国内での開幕試合となった東建ホームメイトカップでは宮里優作選手の年を跨いだ国内2連勝の話題に湧いた。その後も日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hillsでプロ9年目にして初優勝を手にした竹谷佳孝選手の実力開花の瞬間や、挑戦中の米ツアーから一時合宿で帰国して組み込んだ国内3戦目となる長嶋茂雄 INVITATIONAL セガサミーカップを制して存在感をアピールした石川遼選手のプレーなど、幾多のドラマを紡ぎながら残り試合を数える今、小田孔明選手と今季3勝で追走するベテラン藤田寛之選手の攻防に注視される構図になっている。




一方、女子はKKT杯バンテリンレディスで史上4人目となるアマチュア優勝を成し遂げた勝みなみ選手を筆頭にアマチュア選手の活躍が何かと注目を集めた中で、賞金女王争いは今季5勝を挙げ、3度目の戴冠へ邁進するアン ソンジュ選手をイ ボミ選手、申ジエ選手、成田美寿々選手が逆転を期して追う構図だ。




そうした中、確かな存在感を発揮するルーキーたちの戦況図が見えてきた。生涯ただ一度の表彰に近い選手は誰なのか。44週のミズノクラシックとHEIWA・PGM Championship終了時点で、「来季シード権獲得者の中から」という選考基準をクリアしている選手を紹介する。女子は次の4選手がいるが、男子の該当選手は未だいない。これからビッグトーナメントが続く中で強烈な才能を開花させる選手の出現を期待したい。
GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤーの表彰式は12月19日に開催する。



GTPAルーキー・オブ・ザ・イヤー選考基準
『男子はツアープロに転向してから、女子はプロテスト合格後またはプロテスト合格者以外ではじめにTPD登録をした者でそれぞれ「最長2シーズン以内(海外ツアーを含む)、但し初年度は全試合数の三分の一以内の出場であれば、その年は含まない」且つその年度の「来季」シード権獲得者の中から」、人格面並びにマナー、エチケット、将来性を加味して選考する。』

 

渡邉彩香選手

ツアー4戦目で初優勝!

いち早く存在感をアピール

1渡邉彩香


フル参戦となった昨年、既にシード権を手にして臨んだ今年は初戦のダイキンオーキッド
レディスで2位タイの成績を収めると4戦目のアクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKIで早々の初優勝を達成してみせた。それも1打差を追う展開となった最終18番でチップインイーグルを決めての逆転優勝だった。まさに記憶に残るこれ以上は無いような勝ち方で一気にゴルフファンの間にその名を知らしめた。




172センチの長身から振り下ろされるドライバーの飛距離を武器に、女子ながら男子顔負けの豪快なプレースタイルはファンを魅了するにも十分だ。イーグル数部門で目下1位というのも飛距離のアドバンテージの賜物だ。昨年は12回を数えた予選落ちも今季は僅かに3回、ベストテンフィニッシュも優勝を含む9回で賞金ランキングも11位につけて、ルーキー選手の中では最上位。最終戦までには2勝目も期待させるプレーが続いている。

鈴木愛選手

メジャーで初優勝の大躍進。

年少記録も更新!



2鈴木愛_D7K4585


QTランキング51位からの今季ツアー参戦。ステップ・アップ・ツアーでは昨年の中国新聞ちゅーピーレディースカップに続き、4月のラシンク・ニンジニア/RKBレディースを制して2勝目を
挙げたが、ツアー前半は予選落ちが続く苦しい
立ち上がりに。それが9月のビッグゲーム、女子プロ日本一を決めるという大舞台である日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯を
初優勝の舞台にしてしまった。ノンシードで初出場、そして、宮里藍選手が持っていた大会最年少記録も20歳128日に塗り替えた。この快挙で多くのゴルフファンにヒロイン誕生を強烈に印象づけることになった。




このことを機に予選落ちはなく、ベストテンフィニッシュ4回(初優勝含む)はこの後に
挙げている。しかもそのうちの一つはまたもや
メジャーの日本女子オープンゴルフ選手権の5位。それも3日目を終わって首位に立ち、メジャー連覇の期待を抱かせての結果だ。連覇はならなかったものの大舞台に強い大物ルーキーとして更なる注目を集めることになった。




部門別データの中では平均パット数の5位が光る。正確なショットとどこからでも入れてくるようなパッティングを持ち味に、上位争いの常連の座も固めつつある。

藤田光里選手

未勝利ながら優勝戦線には

度々絡んでみせる




3藤田光里


昨年18歳で挑戦したプロテストを1発で合格し、しかもルーキー史上では初となるQTトップで通過し、同年新人戦の加賀電子カップで優勝を果たしてフル参戦となった今季ツアー。当然、前評判も注目も高い中での参戦となったが開幕から3連続予選落ちを喫してプロの辛酸を舐めることとなった。しかし、初の予選を通過した4戦目のアクサレディスゴルフトーナメント in MIYAZAKI以降は本来の調子を掴んだのか徐々に実力の片鱗を見せ始め、6戦目のスタジオアリス女子オープンで5位タイ、16戦目のニチレイレディスで2位タイ、18戦目の日医工女子オープンでは単独3位といずれも優勝に手が届く位置での活躍を見せている。誰もが優勝は時間の問題と思い始めていた中、20戦目のセンチュリー21レディスでの9位タイ以降、ショットの調子が悪くなり、その上、体調不良という不運にも見舞われたこともあって、ベストテンフィニッシュも無くなり予選落ちの回数も増えてしまった。それでも賞金ランキング32位の位置をキープし、まだまだ上を狙えるところにつけている。残り試合数も限られてきた中だが、実力の程は折り紙付きなだけに体調とショットの立て直しに成功すれば必勝のチャンスは十分に狙える。最後までその動向から目が離せない。



葭葉ルミ選手

イーグル数3位の

爆発力を秘めた逸材




4葭葉-ルミ




昨年のステップ・アップ・ツアーのルートインカップ 上田丸子グランヴィリオレディースで優勝し、今季はQTランキング28位で参戦。ツアーではまだ未勝利で予選落ちを喫することも13回と多く、好不調の波が激しいと言えるが、ベストテンフィニッシュはヨコハマタイヤPRGRレディスの6位タイ、ニチレイレディスの2位
タイ、日医工女子オープンの4位タイ、ゴルフ5レディスの3位タイと4度マークしており、シード権はほぼ手中に収めたといえ、非凡さは遺憾なく発揮している。




予選を突破すれば上位に顔を出してくる傾向があるだけに、良い時と悪い時の差を縮められたら、今後もベストテンはもとより、十分に優勝戦線に絡める力は秘めているといえそうだ。